口唇口蓋裂の
症状 分類

口唇裂・口蓋裂とはどんな病気?

口唇裂とは、生まれつきくちびる(唇)が割れている(披裂)状態です。

割れ方の程度には種々のものがあり、赤い唇にわずかな陥凹がある程度から、くちびる全体が鼻まで割れている(完全口唇裂)ものまであります。
また、片側だけのことと、両側の口唇裂があります。上図はWIKIより引用。

口蓋裂は、鼻のあなの奥(鼻腔)と口を境する口蓋(口の天井部分)が、うまくできなかったことにより口蓋に割れ目がある状態です。 もともと人体が発生する途中では、鼻と口はひとつの腔です。

左右から口蓋突起と呼ばれる部分が伸びてきて真ん中でくっ付いて口蓋ができます。

この過程がうまく行かなかったとき、口蓋裂となります。

唇が割れのみのタイプの”口唇裂”から、口唇と歯ぐきそして口蓋が割れている”唇顎口蓋裂”、口蓋だけがわれている”口蓋裂”に分類されます。口蓋裂も後方のみに裂がある「軟口蓋裂」、口蓋の骨組織も割れている「硬軟口蓋裂」、また、粘膜の連続性が残っていて、筋層に裂がある「粘膜下口蓋裂」があります。

裂型をうまくまとめてある図をUPTODATEから借りて、日本語分類を足してます。

海外のこうした絵は、メディカルイラストレーターが作成しているのでしょう。
そこそこ絵はキレイですが、ちょっと正確性に欠けます。

最下段について、勝手に修正を加えさせて頂きますと、下のようになります。

口唇口蓋裂患者で、歯ぐきが割れてる状態は、左右からの突起が癒合しなかった結果となりますので、裂の左右では、歯ぐきは前後にずれてしまいます。
また、両側裂では、真ん中の部分(中間顎)は過成長して、かなり突出します。

インターネットで見る唇裂・口蓋裂のイラストの作成は、左右が繋がった正常の歯ぐきを裂の部分を黒く塗って書いているようです。なので、述べたような顎のずれが表現できていません。

ネットに公開されている歯科系の論文から、画像を引用します。これは術前の顎共生の論文です。上段が矯正前の状態です。歯槽(歯ぐき)ずれが大きいです。
NAM法という術前矯正で、下段のように裂を狭めることも可能です。ただし、両側裂の突出した中間顎の矯正はかなり難しいという感想を持っています。


Nasoalveolar Molding and Columella Elongation in Preparation for the Primary Repair of Unilateral and Bilateral Cleft Lip and Palate

Judah S. Garfinkle, Barry H. Grayson

口唇裂・口蓋裂は比較的頻度の高い生まれつきの病気です。
(500出生に1人と言われています。)

口蓋裂があると、哺乳障害、ことばの鼻漏れ、構音障害、また、歯科的には歯の欠損、歯並びの悪さ(歯列不正)などの問題が生じます。

口唇裂・口蓋裂の総合的チーム医療

多様な医療者によるチーム医療

形成外科、言語聴覚士、小児科、耳鼻科、麻酔科、矯正歯科、補綴歯科、医療社会福祉(MSW)等がそれぞれの専門性を生かして「チーム医療」を行います。

口唇裂・口蓋裂の治療は現在では大変進歩しています。その治療は一度にすべて行うのではなく、成長・発達にあわせて、適切な時期に適当な治療を行う必要があります。

したがって、治療は新生児期から始まり、段階的に行われます。そこで、患者本人はもちろん、家族の協力がぜひ必要です。