あざ・血管腫・リンパ管腫

1.黒あざ:ホクロ 色素性母斑、母斑細胞母斑、色素細胞母斑

黒いあざはしばしば見られる疾患です。ホクロが無いヒトはたぶんいないのではないでしょうか。黒あざは母斑細胞からなる皮膚の腫瘍性の形成異常で「母斑細胞」があることが特徴です。
色素性母斑とは、胎生期の神経堤由来の細胞がシュワン細胞やメラノサイトに分化できなかった母斑細胞が
局所に増殖したものといえます。
組織学的に(顕微鏡検査の結果)境界母斑 junctional nevus、複合母斑compound nevus、真皮内母斑 intradermal nevusに区分されます。
境界母斑 junctional nevus 表皮と真皮の境界に母斑細胞がある
複合母斑 compound nevus 境界母斑と真皮内母斑の複合型。
境界状にも真皮にも母斑細胞がある
真皮内母斑 intradermal nevus 真皮内にメラニンを産生している母斑細胞が増生

巨大母斑 獣皮様母斑:身体の広範囲に色素性母斑がある場合には、悪性黒色腫の発生母地になるため、3歳くらいまでになるべく母斑を切除するなり、色素細胞の減量を行います。

医学的知識-----神経堤細胞とは--------
脊椎動物の発生において、神経堤細胞は神経板の両縁に生ずる外胚葉由来の細胞です。
自己再生能と多分化能を有しています。神経堤細胞の特徴は遊走によって胚に広く分布し、神経細胞やグリア細胞・皮膚色素細胞・副腎髄質細胞・顎顔面の間葉細胞(骨・軟骨など)・血管平滑筋細胞など多様な組織に分化することです。

2.扁平母斑




3.太田母斑・蒙古斑・異所性蒙古斑



4.血管腫

単純性血管腫:いわゆる「赤あざ」と呼ばれる表面が平らで、赤ワインをこぼしたような色合い

治療としては、赤あざ用のレザー治療が、奏功します。

乳・幼児期は、皮膚もうすく身体が小さいため、相対的に血管腫の表面積も小さいことから、はやめにレザーを開始するのがよいようです。

イチゴ状血管腫:生まれたときは無いか、平らな状態であり、その後生後2-4週間くらいから増大して6-9ヶ月の間増大する、表面が莓状に盛り上がった血管腫。

このタイプは。自然消退といって、半年過ぎから徐々に消失していきます。およそ、7歳くらいにはかなり白っぽくなるのが普通です。

ただ、かなり大きなものでは、早めにレザーを照射することで早期に縮小するようにしてあげた方がよい、とも言われています。目の周囲などにできた場合、視野をさえぎってしまうと赤ちゃんは弱視になってしまうため、早期にステロイドホルモン剤内服や局所注射などの治療を行うことも必要です。

その他の血管腫

上記以外の血管腫では、レザー治療の効果は期待できないので、手術治療をおこなうこともあります。血管腫が四肢などでは筋肉内にも侵入していて、すべて切除できないことがしばしばあります。

また、血管腫硬化療法という、硬化剤と呼ばれる薬剤を血管腫に注射する治療法も行われています。


5.リンパ管腫


海綿状リンパ管腫、嚢胞状リンパ管腫
リンパ管組織系の形成異常によるリンパ液の貯留した拡張したリンパ管組織をみる

治療法:切除手術、硬化療法
硬化療法はとくに嚢包型リンパ管腫では効果が大きい。

6.あざのレザー治療について

ひとくちにあざと言っても、実際にはおおくの疾患が含まれています。

基本的には、皮膚の色の異常をすべてあざと呼びますが、赤あざは拡張した血管が赤く見えているもので「血管腫」のひとつですし、黒く剛毛が生えたようなあざは、黒子の巨大なものといえます。これらは、「母斑細胞」という細胞が黒さを成しています。

しみのような、茶あざには、体中のどこにでもできる「扁平母斑」、顔にできる「太田母斑」などがありますが、これらは、母斑細胞をもたず、メラニン色素が多くて色が濃い状態になっていると考えられます。

あざの治療は、切除手術が基本ですが、太田母斑、扁平母斑などのメラニン顆粒が多いタイプのあざでは、レザー治療が奏功します。

1.レザー治療Q&A

A1:「レザー治療」とはどんな治療法ですか?

レザー光線を用いた治療ですが、形成外科では「赤あざ」「茶あざ」などの色素性病変の治療にもちいられます。

A2:「あざ」のレザー治療 装置にはどんなものがありますか

赤あざ(血管腫)
色素レザー
太田母斑
Qスイッチ ルビーレザー
茶あざ(扁平母斑)
Qスイッチ ルビーレザー
シ ミ
Qスイッチ ルビーレザー

その他にも、アレキサンドライトレザー、ヤグレザーなど多くの医療用レザー装置があります。

A3:しみの種類にはどんなものがあるか

  • 老人性色素斑(しきそはん)
    30歳台の後半になると,顔や手足にできる茶色の斑点のこと.色素の排泄能力が低下し, 皮膚の一部に色素がたまったもの.
  • 老人性疣贅 (ゆうぜい=いぼ)  
    老人性色素斑ができて,2〜3年たつと,色素斑の表面が盛り上がってくるものがあります.これが老人性疣贅です.
  • 肝 斑
    三つ目は,肝斑(かんぱん)で両頬に蝶の羽を拡げた形で,うす茶色の色素斑ができます.同じものが,ひたいや上口唇,あるいは,あごや首などにもできます.肝斑は生理的なもので,女性ホルモンの分泌と関係が深く,妊娠した時や中年期,あるいは生理が終わる前後にできます.しかし,時がたつと自然に消える傾向があります.

A4:しみの治療方法

治療には,おもにレザーを用います.
メラニン色素を作る細胞(メラノサイト)の能力をレザーで低下させます.
レザーが当たると,そのエネルギーがメラニンに吸収され,高熱を出してメラニンをたくさん含むメラノサイトが死んだり,メラニンを作る力が弱くなるのです.

A5:レザーですぐに消えるの??

レザーを当てた瞬間に治るわけではありません.粉々になった色素が運び去られるには2から3ヶ月必要です.
レザーを当てると,表皮が軽いやけどになります.やけどと,その後の一時的色素沈着が治るまで時間がかかります.

A6:レザーを当てた皮膚はどうなる

レザー照射後は,表皮が熱で焼かれて紫褐色になります.その後,約1週間でこの焼けた表皮は取れます.
その後に再生した表皮はメラニンが無いのでピンク色をしています.再生した皮膚のピンク色は約3週間で元より濃い茶色に変化します
これは一時的に,過剰のメラニンができるためです.
その後,濃くなった色も徐々に薄くなり,約3か月から約6カ月で周囲の色と同じ色になります.

A7:老人性疣贅の治療
表皮が盛り上がり厚くなっているものはレザーを強く当てたり,その後で表皮を除去し更にレザーを当てます.やけどもやや強くなるので,表皮が再生するまで10〜14日程かかります.
ただし,いぼ状に高く盛り上がった形のものでは,レザーは効果が有りません.
そこで,電気メスで削り取ります.周囲と同じ色になるのに,老人性色素斑より長い時間がかかります.

A8:肝斑のレザー治療の可否
肝斑は治療すると,治療前よりもさらに黒くなることがあります.
また,無理に取るとまわりが自然に治った時,その部分が脱色されたままになることもあります.
したがって肝斑の場合は治療をせずに自然治癒を待ち,日光に当たらないよう心掛けることです.

A9:レザー治療後のスキンケアは大変重要です.

最初は,やけど治療の軟膏をつけます.
6-10日で,表皮が再生するとかゆくなりますが,引っかくと皮を剥がすことになり傷跡になることがあります.軟膏の量や回数が少ないと,乾いてしまうので乾かないように軟膏をつけます.かさぶたができるのは好ましくありません.
顔の場合,昼間は軟膏をつけるだけでよいのですが,寝ている間に引っかくことがあるので,保護のためバンドエイドなどを貼って下さい.
また,擦れやすい手足では表皮が再生するまで常にバンドエイドなどを貼ったり,包帯をしておくのが安全です.